2011年11月3日木曜日

陰翳礼讃


陰翳礼讃・・・谷崎潤一郎の随筆のタイトルだが、日本人の光に対する感覚を良く言い当てていると思う。といっても時代がだいぶ違うために若い人にはピンと来ないかもしれない。裸電球の照明など知らない人が多いのではないか?

子供のころ祖母の家によく遊びに行った。今思うと通り庭のある町家形式の家であった。陰翳礼讃の場面と重なるところがある。

中庭に面した厠に夜行くとき暗い廊下を通るのにずいぶん怖い思いをした記憶がある。この廊下の先に厠がある。奥は光が届かず、子供にとっては妖怪や魑魅魍魎が出てきそうな雰囲気である、がどことなくこの風景に親しみがわく。

夜の通り庭。裸電球の色温度の低い赤い光で照らされ、よく磨かれた黒光する柱に反射している。高い天井や、隅まで光が届かず陰がある風景が心地よい。

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