2011年11月3日木曜日

水上の家


週末を過ごす別荘に行くため、夕暮れ時、靄のかかったラグーンにクルーザーをゆっくり走らせると居間明りが道しるべとなりたがて目的の建物が視界に現れる。クルーザーが着岸したばかりの光景。

になってしまったが、本来のテーマは洪水。絵として面白いのでタイトルを変更した。
実は洪水で湿地帯に建っている住居が浸水したところである。

この絵を作ったきっかけはミース設計のファンズワース邸だ。イリノイ州の湿地帯に建っており、しばしば洪水に見舞われる。ミースは設計するにあたり1階の床を1.5m地盤面より上げた設計をした。


ファンズワース邸の洪水時の写真。1階床までは浸水していない。

この建物を見ているとそんなに床が上がっているようには見えない。アプローチのテラスと軽快な階段でうまく高低差を処理しているためだ。ファンズワース邸は、その究極のディテールで世界中に知れ渡っているが、ちゃんと出水に対する処理をデザインで消化しているところがまた素晴しいと思う。
しかし、2008年秋の大雨はすごかったようで床上浸水してしまったようだ。その時の写真がこれ。

たぶん1.5mという数字は、過去の出水履歴を調べそれに余裕を持たせた設計なのだと思う。それが近年の地球規模の変化で床上まで水が来てしまったのだろう。地球温暖化の影響がこんなところにも表れているのだろうか?
水上の家みたいだが、

水がないとやはりつまらない。

いっそボートを浮かべてみたらどうだろうか?で作った絵が最初の絵である。
インテリアのイメージ

夜の居間のイメージ。

この光が灯台の役割を果たしクルーザーの道しるべとなる。

日本でも近年ゲリラ豪雨と称される熱帯に見られるような集中豪雨がよく起るが、雨水や出水対策は、過去の最大雨量(平成12年の東海豪雨の1時間97mm)から1時間当たり100mm想定としているが近年この記録を更新する集中豪雨が各地で降っている。
出水の種類には外水氾濫と内水氾濫がある。
外水氾濫とは、海水や河川の水位が堤防を越えて、もしくは決壊して洪水となる場合で、日本ではかなり堤防の工事が進んでおり、地震で堤防が破壊されて同時に大雨が降らない限りは大都市では起こりそうもない。しかし、外水が氾濫すると、その浸水量はとてつもなく大きく、たとえば大阪の淀川の堤防が決壊すると梅田のあたりは4mほど水につかることになるそうだ。また、浸水時間も何日という単位で相当長い。ちなみに東海豪雨では河川の堤防が決壊し外水氾濫となっている。
それに対して、内水氾濫とは、降雨量が下水道の処理能力を超えてしまい、道路に水があふれる洪水のことだ。こちらは道路の高さによるが、(高架の下をくぐり抜ける様な道路だと何mにもなるが)せいぜい何十センチの単位で、時間も短い。しかし頻度は年々多くなっており、特に地下がある建物は開口部の防潮板などの対策を十分に練っておく必要がある。
 上空から俯瞰。

この絵は、東海豪雨で河川が氾濫した時の航空写真とイメージが重なる。


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