眩暈坂(めまいざか) - 聞いたことがあると思う。京極夏彦の小説に登場する坂である。小説の主人公、清明神社の神主で古本屋の店主でもある中禅寺秋彦、その彼の店である京極堂に行くために通らなければならない坂だ。
イメージしたのは梅雨の合間の晴天の日で、時刻は正午近く 地面が熱せられて気温はぐんぐん上がるが湿度は高いままで蒸し暑く、大気中の水蒸気とチリで遠くの景色がかすんでいる。坂だけが日の光を受けて白く浮き上がっている。緩くカーブした坂は一応舗装してあるがところどころのひび割れから雑草が生えている。坂に沿って、片側はところどころ崩れかかった土塀で、奥は竹藪。反対側は、荒れ地で雑草が生え放題の状態。そんな風景をイメージした。
坂の数値データは、幅員2mで延長250m、勾配は9m登っているので角度にして2度だからそんなにきつい勾配ではない。
あらためて小説を読み返すと、少し状況が違っていた。小説では坂の両側は土塀でその奥は墓地。登りきったところは蕎麦屋でその隣が京極堂になっている。場所も東京の中野だから、私がイメージした坂とは少し違うかもしれない。
今まで、インテリア空間を中心に光と影を考えてきたが、エクステリアでの光についても考察する必要があるかななどと考えているときに眩暈坂のことを思い出した。光というよりは日向、日陰の作りだす造形かもしれない。これからは外部の景観についても取り上げてみたいと思っている。
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