2009年6月25日木曜日

時間軸

時間(建物が建てられてからの時間)が建築に与える影響は大きい。光と建築の関係を考察する時も時間軸を無視はできない。



古い建物が独特に持っている雰囲気は経年変化や使用感が大きく影響している。日焼け、使うことでできた傷や汚れに加え、その空間にある家具・什器も大きく影響する。建物は使用されてなんぼである。



ところで、今テーマにしている町家は、特に有名建築家が設計したわけではないが大変魅力ある造りをしている。
いや、むしろ有名建築家が設計した住宅というのはクライアントに受け入れられない場合が多い。良い例がミースファンデルローエのファンズワース邸だ。建築としての素晴らしさは右に出るものが無いが、住人にはすこぶる評判が悪い。



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町家の場合は、誰か一人がアイデアを出したのではなく長い時間の中での試行錯誤からうまれた形ではないだろうか?
間口の広さで税金の額が決まった時代に間口をできるだけせまく、いわゆる鰻の寝床の平面形で節税を考慮しながら通風・採光・防火・景観など住居としての機能、デザインを見事に満足している。



通庭には竈があり火を使うが、この吹き抜け空間は火袋と呼ばれ、火事の場合に火を上に逃し隣地に延焼しにくいように工夫されている。同時に吹き抜けがこの空間の雰囲気を決定づけているともいえる。



モデルに時間軸を与えてみた。経年変化と使用感である。竣工間もない想定のモデルと並べて比較してみると、光の与え方は同じでも違った空間に見える。



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