2010年12月25日土曜日

SUPACE BATLESHIP YAMATO その2

映画を見た。感動した。ストーリーが良いとか、演技が上手いとかではなく、懐かしかったからだと思う。一方映画で使われているCGは凄いの一言だ。日本のSFX映画であそこまで拘ったのは今まで無かったと思う。これだけでも見る価値大である。


映画の企画という意味では、ヤマトが懐かしい世代にもうけ、尚且つハリウッドの最新VFXを見なれた世代を飽きさせない魅力を兼ね備えている。というかこれが狙いだったかもしれない。興業収入は思ったほど伸びていないみたいだけど、どちらも大好き人間の僕にはたまらない映画だ。


強いて言うなら、古代進役はいまいちだったのと、原作では救護員のはずの森雪(黒木メイサ)が、ブラックタイガー戦闘機のパイロットに変化していた。??? パンフを見てヤマトの全長が534.02mとあるが、実際の大和は260m程度である。とすれば大和発進の時、古い大和の殻を破って登場するヤマトでは辻褄が合わない気がするが?それにしては小数点2ケタまでの数字だからそこは何か理屈があるのだろう。それと、主砲の回転速度が速すぎるのも気になる。今あげた事項は僕にとってそれは無いでしょうって感じだ。


でも許せる。許せないのは、映画のエンドロールで松本零士の名前を探したが無かった。パンフレットを買って確認したがやっぱり無い。どうしてだろう?


原作は西崎某になっていた。最初の構想は確かに西崎という人のものの様だ。しかし、途中から松本も加わり、キャラクターデザインなど肉付けを行っている。


地球防衛軍が宇宙の辺境まで放射能除去装置を取りに行くなんてストーリーだけではその辺に転がっているつまらない映画にしかならなかったはずだ。宇宙戦艦は海底に沈んでいる大和を再生するという発想と、ガミラスやイスカンダル、スターシアなんてネーミングが醸し出すロマンティックな雰囲気も松本零士に拠るものだということは明白なのにである。


ところで、NHKの坂の上の雲は先週 日露戦争突入まで行った。連合艦隊司令長官に東郷平八郎、その作戦参謀に秋山真之が決まったが、今年中に日本海海戦までいくのだろうか?


3年に渡るドラマの2年目だからクライマックスは来年かな?


ところで、連合艦隊ってどういう意味なんだろう?という疑問がわく。調べると、


日本海軍の艦隊は、戦艦は戦艦でまとめる。で艦隊を作る。駆逐艦は駆逐艦で艦隊を作る。空母は空母だけで艦隊を作るということになっており、其々艦隊司令が居る。たとえば、第二次大戦の第一航空艦隊は空母機動部隊として航空母艦だけで組織され、その司令官は南雲忠一中将だが、連合艦隊司令長官は、山本五十六という様に。


これは現在の企業組織が、プロジェクト毎に組織されておらず、年功序列のピラミッド構造が崩壊しつつ、これを守るために頭でっかちな組織を細分化する必要と、その細分化された組織には其々の長をおく必要から、何々事業本部ー何々事業部ー何々部なんて重層構造が出来上がっている。風通しが悪く横のつながりが低い構造だ。これが連合艦隊の実態かもしれない。




話は逸れに逸れるが、現在のアメリカの艦隊運用は、航空母艦一隻に対しミサイル巡洋艦(イージス艦)やミサイル駆逐艦を十数隻ひきつれて艦隊を構成している。航空打撃と防空能力の両方を併せ持った運用になっている。日本海軍の航空艦隊は航空母艦だけで組織され防空能力はほとんどなかったことと比べると、ピラミッド構造とプロジェクト構造の組織の差がわかる気がする。




日露戦争の日本海海戦では、第二戦隊が、第一戦隊が追うバルチック艦隊旗艦の舵の故障を見抜き東郷の命令に反して艦隊を離脱しバルチック艦隊を追う事で全滅と言う奇跡的な戦果をあげたが普通はこうはならない。上司の言う通り行動し責任の所在もはっきりしないまま時間だけが過ぎ去って行くパターンが一般的だ。


しかし、日本海海戦の様に重層構造でもその指揮官が真に優秀で独自判断ができれば成果をあげる事はできる可能性はある。結局指揮官の能力次第という事か。


いや、ちょっと違う。当時の連合艦隊司令長官は第二次大戦の始めまで艦隊旗艦に乗艦し、現地(現場)の最前部で指揮していた。現場の指揮官でプロジェクトチームのリーダーだった。ところが、第二次大戦中盤から終盤にかけては、旗艦はもっとも被害の少ない最後尾を走る様になり、やがては内地で指揮を取る様になった。これでは現場の事は全くわからない。
元々、日露戦争で連合艦隊司令長官に東郷平八郎を指名したのは海軍軍令部長である山本権兵衛だが、理由は上司の命令に良く従う事だった。遠く離れた海上で絶対的権力を握る事になる連合艦隊司令長官は自分のいう事を聞く必要があったのだろう。果たして日本海海戦の結果、上にはまだ海軍軍令部長、海軍大臣といるにもかかわらず、その名声は日本国民にとって最上級のものとなった。海軍の中で、かつては現場の指揮官だったはずの連合艦隊司令長官を頂点とするピラミッド構造が段々と出来上っていった結果、縦割りで風通しの悪い組織がその後の日本の組織の原型になって行ったのかもしれない。

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