2010年11月29日月曜日

宇宙戦艦 ヤマト

12月1日より公開される映画 space battleship yamato 木村拓哉・黒木メイサの主演とCGの凄さで前評判は上々だが、松本零士作のアニメーション 宇宙戦艦 ヤマト のリメイクになる。是非見たい映画だが、最初にテレビに登場したのは30年以上前で、毎回必ず 人類滅亡まであと残り○○日 というナレーションで終わっていたテレビの30分アニメ番組で、学生時代必ずではないが良く見ていた記憶がある。




海底に眠る戦艦大和を宇宙戦艦としてよみがえらせ、単独ミッションで地球を救うというテーマは、実際の大和が沖縄決戦に参加するためわずかな駆逐艦隊とともに戦艦単独で出港し途中で撃沈された事と、イスカンダルへの単独ミッションを成功させ地球を救うというストーリーが重なって、松本零士の意図を感じる。




第二次世界大戦前の海軍は大鑑巨砲主義であり、巨大スケールの戦艦をたくさん持つことが海軍の優位にあたるとして46cmもの主砲を持つ大和や武蔵など巨大戦艦を多く建造した。


年末NHKで放送される 坂の上の雲 で主人公の秋山真之が参謀となり勝利する日本海海戦で、三笠を旗艦とする日本の連合艦隊が、ロシア バルチック艦隊に対して艦砲射撃を工夫した丁字作戦が功を奏したが、この時代以来大鑑巨砲主義が続いていった。


ちなみに、司令長官 東郷平八郎が、開戦前司令部に送った電文は、




天気晴朗なれど波高し




で、それまでの常識では考えられない敵前での180度回頭という、前代未聞の作戦を行う不安感と絶対に勝利するという決意がよく読み取れる。




また、艦隊に送った激文は




皇国の興廃はこの一戦にあり、各員一層奮励努力せよ




である。




だが、第二次大戦時には航空機の時代に移り変わり、空母機動部隊(航空機の支援)なしで勝利は考えられない時代になっていた。日本の連合艦隊も真珠湾攻撃から南雲中将率いる、空母機動部隊だけが開戦後しばらく勝利を収めていた。空母同士の戦いであるミッドウェイ海戦で負け、大多数の空母を失った日本連合艦隊はその後は全く勝負にならなかった。






横須賀 三笠公園に係留されている 戦艦 三笠(googlemap)


全長131m






Mikasa




現在のアメリカ艦隊を見れば明らかで、今回米韓合同演習に参加するのも空母ジョージワシントン一隻が主力の構成で、回りを航空防御のイージス艦が守る形態の艦隊構成である。空母一隻の破壊力がいかに強大かということがよくわかる。






空母ジョージワシントン(wikipedia)


全長333m




Uss_george_washington_cvn73




横須賀基地の米国イージス艦(googlemap)


全長173m




Izisu






そんな時代に戦艦単独で出港するなど自殺行為であることは明らかだ。この作戦は天一号作戦といって、片道の燃料しか積まず、沖縄沿岸でわざと座礁させて、砲台として大和を使うという、全く理不尽で意味のない作戦であった。






コレクションの大和と同形艦 大和型二番艦 武蔵


全長263m




Musashi




呉の大和ミュージアムにある。実物大の甲板公園(中央)




Photo




上記模型とスケール比較すると




Photo_2




約260mだとわかる




生まれ変わった宇宙戦艦は、ブラックタイガーという制空戦闘機を多数搭載し実際の大和になかった航空機支援を得て勝利を重ねるが、最後の切り札は波動砲だ。ここで大和が世界に誇った46cm主砲の代役を波動砲が果たすことになる。実際の大和になかった空母機能と大鑑巨砲のオマージュである波動砲でミッションを完結するというストーリーは、大和の無念を晴らそうとした鎮魂歌に思える。






宇宙戦艦ヤマト と 武蔵




Yamatomusashi




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