2009年9月18日金曜日

イタリア その3 二つのドゥオーモ



フィレンツェのサンタ・マリア・デル・フィオーレ教会とシエナのドゥオーモ 



Dsc_0181



フィレンツェのサンタ・マリア・デル・フィオーレ教会







Dsc_0132_2



シエナのドゥオーモ 



イタリア トスカーナ地方を代表するゴシック?様式の教会だが、中世 この二つの都市国家は互いに競い合っていた。
フィレンツェのサンタ・マリア・デル・フィオーレ教会は建替えの度に大きくなりドームは世界一の大きさである。



Dsc_0187



Dsc_0201



ドーム



シエナはフィレンツェに対抗するため現在のドゥオーモの身廊を翼廊として90度向きを変えた改修を試みサンタ・マリア・デル・フィオーレより大きな教会を作ろうとしたが、ペストの流行などでシエナの財政が圧迫され途中で中止されたまま現在にいたっている。



Dsc_0133



Dsc_0153



工事途中の側廊



教会の向きを90度変えるということは祭壇を南西向きから南東向きに変えることになる、なかなか増築の発想が面白いと感じた。



Photo
現在の広場には工事途中の側廊が残っているが、教会内部にある白と緑の大理石のストライプと比べてストライプの幅は粗く装飾も簡素になっている。もしこのまま造られたとしたらサンタ・マリア・デル・フィオーレと似たインテリアになり現在のシエナの内部の様な密度の高さはなくなっていたのではないだろうか。



Dsc_0136



シエナのドゥオーモの内部空間



この2つの教会はゴシック様式といわれるが、イギリス・フランス・ドイツにある聖堂とはかなり趣が異なっており、正面の装飾を除きどちらかというとロマネスク様式に近いと感じた。もっともサンタ・マリア・デル・フィオーレの正面は1700年代の改修だそうだ。



教会の向きもイギリス・フランス・ドイツのゴシック様式はそろって西を正面にしているが、イタリアの教会はあまりこだわりがないように思う。



以下の航空写真はいずれも北が上の同一スケール



Photo_4



アミアン大聖堂



Photo_5



パリ ノートルダム大聖堂



Photo_6



ケルン大聖堂



Photo_7



ミラノ大聖堂



Photo_8



ランス大聖堂



Photo_9



ウエストミンスター寺院



Photo_2



サンシュルピス教会(パリ) ダビンチコードで有名になった教会



西を正面にするやり方は初期のロマネスク様式からでカロリング朝フランク王国(現在のフランス)から始まっており、国王の席を西構えと呼ばれるツインタワー棟の2階に置き西日を背にして国王に後光が差しているように見える演出から始まったようだ。、ミラノは西向きでフライングバットレスなど典型的なゴシック様式だが西正面のツインタワーがない。イタリアの教会建築までは西構えは反映されなかったようだ。



Photo



サンマルコ寺院



Photo_2



サンタマリアノべーラ教会(フィレンツェ) 南向き



Photo_3



サンロレンツォ教会(フィレンツェ) 東向き



Photo_10



サンピエトロ寺院



イタリアの寺院建築には西構えははっきりしないが大きなドームがある寺院が多い。



自分なりに解釈すると、ドームは古代ローマからある建築様式でローマのパンテオン神殿はドーム建築の典型である。頂部に空いた穴から差し込む日光は窓のないドーム周囲にスポットライトを当て大変感動を与える。イタリアの教会建築は多かれ少なかれこのドーム様式を受け継いで作られているように思う。



Dsc_0027



パンテオン神殿



ドーム様式は東ローマ帝国の首都であったイスタンブール(コンスタンティノーブル)のハギヤソフィアなどビザンチン建築に影響を与え、それがベネチアのサンマルコ寺院の正十字平面やドームが乗った様式に影響しているのではないかと思っている。



ゴシック建築の西が正面というのも、前述のフランク国王のためではなく、東から昇る太陽を祭壇の後ろから入れるために東に祭壇を持ってきたかったからではないだろうか?



上のシエナのインテリアは祭壇の方向を見ているが、丸い窓は装飾性に欠け採光のために設けられているデザインで直射が入るのではなく北向きの天空光が似合っている。



その代わりにドーム頂上に明かり窓がある。これは古代ローマのドーム建築から受け継がれたものであり、ゴシック建築と呼ばれながらも、ゲルマン民族の作り上げたゴシック様式とは異なる様式の建物になっている。



Dsc_0139



シエナのドーム見上げ



下の写真はパリのノートルダムの祭壇だが、ステンドグラスで装飾され、ここに直射が当たると光芒が生じ、神の存在を示す空間になる。



Dscn0283



パリ ノートルダム インテリア









 



0 件のコメント:

コメントを投稿