灯篭が完成しました。年月を経て風化した御影石の感じが難しいです。
時刻は夕方、灯篭に蝋燭をともしてみました。
坪庭の露結を作りました。舟入障子から見えるため、西を見た画面では必要になります。
砂利はリアリティがありすぎてちょっと合ってません。実際は露地に置いてあるため違ってます。仮に置いてみました。あとは燈篭が必要です。
まだ、モデリンは不完全ですが、明かり障子の効果を確かめるためにシミュレートしてみました。
午前中も明かり障子に直接朝日は当たりませんが、坪庭に面した障子からの光が多く色も白です。対して午後は、明かり障子からは天空光の青い光しかはいってきません。しかも、西の舟入からの光が強いため、明かり障子がそんなに目立たなくなってます。
午前中は、障子の明るさに比べて、床が闇に沈んでるのがよくわかります。
この午前中の光と闇の対比が空間を生かしてると思います。
午前の忘筌
午後の忘筌
忘筌茶室の軸組みを作成しました。
手前の赤い横材が有名な舟入の障子を受ける鴨居です。
柱は4寸面取り長押が廻ってる茶室ながら書院建築の様式をもっています。
いろんな文献を読んでも西日制御や露地の風情を演出するこの舟入のことは書いてあるのですが、私が気になっているのは、正面 点前座にある明かり障子です。と言ってもこの軸にはまだ出てきていないので分かりにくいと思いますが。
確かに草庵茶室にはよく下地窓などが見られる明かり障子ですが
西日が当たる明るい茶室でこの明かり障子の果たす役割が気になっています。
たぶん午前と午後でまったく違った表情を見せるのではないでしょうか?
遠州はこの明かり障子で闇を演出しているのだと思っています。
モデリングできたら、いろんな時間帯でこの明かり障子の役割を検証したいと思います。
cube residenceという住宅をデザインしていて、空間に光を取り込むことしか考えずに造ったプロトタイプが下記のプレビューだが、自分なりの哲学の “光を認識させるためには闇が必要” が実践できていないように思う。もう少し考えをまとめる必要がある。
文節と分割の自分なりの定義は下記のとおり
分節・・・立体の構成で空間を創造する
分割・・・大きな空間を間仕切って空間を創造する
この二つの方法は、単にデザインの方法ではなく、空間を構成する構造と密接に関係している。
組石造から発展してきた西洋の建築は、基本的に壁がないと成り立たない構造形式で必然的に空間は分節されて作られる。これに反して、和風の軸組み工法は、柱と梁で構成され壁は構造的に必要がないため、大きな空間を必要な大きさに襖や障子で仕切っていく作り方を行う。もちろんすべてがそうではないが大きな傾向としてこの違いがあると思う。
組石造は壁自体が構造体であるため開口を作るのが難しい。逆に、和風の軸組みは非常に開放的な空間になりやすい。
結果、ないものねだりで西洋建築は光を欲し、和風は闇を欲する様になる。
したがって、西洋では光をデザインしたもの、和風では闇をデザインしたものが空間的によくできた建築になるのだと思う。
自分の好きな建築でいえば、光をデザインした建築としてコルビジュエの代表作 ロンシャン教会堂、また、闇をデザインしたものとしては、小堀遠州の孤蓬庵 忘筌茶室というところだろうか?
しばらく忘筌について考えていきたい。まずは忘筌をモデリングしてみることにする。