5月9日に、大阪の茨木春日丘教会に行った。安藤忠雄設計の光の教会だ。日曜礼拝に参加させてもらった。10時30分から約1時間、心地よい時間を過ごした。
有名な、十字架の光が降り注ぐ礼拝堂。
この写真は、礼拝が終わった後なので人は少ないが、礼拝には約70人の信者の方が参加される。そしてそのうち新規参加者が14人いた。新規の人は多分建物見学が目的の人(私も含めて)だろうが、世界中から来ていた。
礼拝は、分厚い聖書と讃美歌集を事前に渡され、パイプオルガンの演奏から始まる。牧師の聖書朗読や全員の讃美歌合唱、伝道師の説教などで礼拝が進んでいく。最初は戸惑ったが、今回はキリスト復活にテーマを絞り、聖書朗読、讃美歌の選択、説教 全てそのテーマにそって行われる。聖書の中に、映画ダビンチコードで有名になったマグダラのマリアが登場したこともあり、興味が無かった私もだんだん興味がわいてくる。しかし内容の興味というよりはテーマに合った讃美歌の選択など礼拝の構成への興味なのかもしれない。
近くに住んでいれば次回も出席したくなる内容だ。
それにしても沢山ある讃美歌の中からその日のテーマにあった讃美歌を選ぶだけでも大変だと思うが、合唱時に皆さん音階や歌詞をほとんど覚えているようなので、相当勉強されているのだろうと感じた。
礼拝堂・・・牧師席から後方を見る。最後部にパイプオルガンが設置されている。
建築的には素晴らしいと思ったこと、うーんと呟いてしまったところと2つあった。
素晴らしいと思ったのは、牧師や伝道師の説教はマイクを使うが、礼拝堂は高いところで7mくらいなのに壁・天井はコンクリート打ち放しが殆どで残響時間は長く、目をつぶっていると大ホールにいるような感じを受ける。
教壇・・・家具には統一して十字がデザインされている。写真が赤みがかっているのは電球色の照明で照らされているため
教壇を照らす照明スタンドとスピーカー・・・光の十字架を背負う形の教壇は逆光になり、照明がないと牧師の姿がシルエットになってしまうからだろう
讃美歌は、礼拝堂の後部に大きなパイプオルガンがありその演奏に合わせて合唱する。打ち放しの吸音のない空間で70人の合唱など反響して明瞭に聞こえないのではないかと思ったが、いざはじまると、逆にものすごい迫力で、歌声もオルガンの音も明瞭に聞こえる。エントランスを形成する斜めに貫入した壁が礼拝堂の左右対称を崩し音響的にも良い結果が得られているのではないかと素人的に思っているが、これが意図されたものだとすれば素晴らしいデザインだと思う。
逆に、礼拝堂の光の十字架は透明ガラスが使われている。上の写真のように室内全体を写すと露出の関係で白く飛んで十字架の形がはっきり分かるが、実際はこんな感じで外部が見えている。
光の十字架ディテール
この日の伝道師の説教の中に、“ここに居る皆さんは十字に縁取られたの光の中にいて” というような表現があったが、まさにその時この十字架を見上げるとガラス越しに外の電柱や電線、植栽などが目に入ってきた。十字の形よりも外部の景色に目が行ってしまう。“うーん”である。
建築のマテリアルとして乳白ガラスの選択はないだろうが、光の効果としてはありかな?と思う。
しかし、1時間 2列目の席に座っていたが大変魅力的な空間なのは確かである。
礼拝の最後に信者代表(長老)の方が、新規参加者一人一人を、どこから来た誰それさんと紹介してくれ、全員の拍手で歓迎される。また、誰かが結婚するとか、入院して手術する人がいると全員でお祈りするなど、牧師⇔知らない個人の集まり ではなく信者同士でいわゆるコミュニティが形成されているようだ。
キリスト教に興味がない人には教会の礼拝など敷居が高くどんなことがそこで行われているか全く解らない。
ここは世界的に有名な建築家の設計であり、教会建築というハードの見学を日曜礼拝と絡めて行うことが可能なために教会のソフト面の紹介を同時に行うことができる。牧師の布教へのしたたかな戦略が見えた気がした。と同時に教会のコミュニティの温かさも実感できた1時間だった。
日曜学校・・・正面の十字架は一日夏期学校で子供たちが作ったものだそうだ
日曜学校コーナースリット見上げ
エントランス・・・礼拝堂の外壁
外部から見た礼拝堂
礼拝堂の入り口部分
時間があればこの建物もモデリングし、見学できない夜間はどんな空間になるかシミュレーションしてみたい。