週末を過ごす別荘に行くため、夕暮れ時の靄のかかったラグーンにクルーザーをゆっくり走らせていたが、居間につるしたペンダントの明りが道しるべになって方向を見定め、今さっき着岸したばかりの光景。
になってしまったが、本来のテーマは“洪水”だった。絵として面白いのが出来たので急きょタイトルを変更した。
実は洪水で湿地帯に建っている住居が浸水したところである。
この絵を作ったきっかけはミース設計のファンズワース邸だ。
Farnsworth邸はイリノイ州の湿地帯に建っており、しばしば洪水に見舞われる土地のようだ。ミースは設計するにあたり1階の床を1.5m地盤面より上げた設計をした。
洪水時の写真。
この建物を見ているとそんなに床が上がっているようには見えない。アプローチのテラスと軽快な階段でうまく高低差を処理しているためだ。
ファンズワース邸は、その究極のディテールで世界中に知れ渡っているが、ちゃんと出水に対する処理をデザインで消化しているところがまた素晴しいと思う。
しかし、2008年秋の大雨はすごかったようで床上浸水してしまったようだ。
その時の写真がこれ。
たぶん1.5mという数字は、過去の出水履歴を調べそれに余裕を持たせた設計なのだと思う。それが近年の地球規模の変化で床上まで水が来てしまったのだろう。地球温暖化の影響がこんなところにも表れているのだろうか?
前に掲載した、ピロティ形式の住居はたぶん、洪水には強いがそのためのレベルのデザイン処理は全然できてないと感じた。
もう一度モデルをリファインしたので、と言ってもレベルの処理は同じだが再掲する。洪水時の絵は水上住居みたいで面白いが水がないとやはりつまらない。
いっそボートを浮かべてみたらどうだろうか? で作った絵が最初の絵である。
日本でも近年ゲリラ豪雨と称される熱帯に見られるような集中豪雨がよく起るが、雨水や出水対策は、過去の最大雨量(平成12年の東海豪雨の1時間97mm)から1時間当たり100mm想定としているが瞬間的に処理能力を超えることがあるみたいだ。
出水の種類には外水氾濫と内水氾濫がある。
外水氾濫とは、海水や河川の水位が堤防を越えて、もしくは決壊して洪水となる場合で、日本ではかなり堤防の工事が進んでおり、地震で堤防が破壊されて同時に大雨が降らない限りは大都市では起こりそうもない。しかし、外水が氾濫すると、その浸水量はとてつもなく大きく、たとえば大阪の淀川の堤防が決壊すると梅田のあたりは4mほど水につかることになるそうだ。また、浸水時間も何日という単位で相当長い。ちなみに東海豪雨では河川の堤防が決壊し外水氾濫となっている。
それに対して、内水氾濫とは、降雨量が下水道の処理能力を超えてしまい、道路に水があふれる洪水のことだ。こちらは道路の高さによるが、(高架の下をくぐり抜ける様な道路だと何mになる)せいぜい何十センチの単位で、時間も短い。しかし頻度は年々多くなっており、特に地下がある建物は開口部の防潮板などの対策を十分に練っておく必要がある。
(名古屋市ホームページより転載)
この写真と前に掲載した
この絵の印象がダブってしまいます。